人は、大人になると、素直じゃなくなる、なくなってくる。
ありがとう、ごめんなさい、よく似合うね、かっこいいね、美味いねこれ、
いいよこれ、上手にできたね、きれいだね、大変だったでしょ、遅くまで
大変だね、あまり無理しないでね、これからもずっと一緒にいようね・・。
ちょっとした、でもそのときに強く心に思ったことを直接、口や手紙で
相手に伝えることができる人は、素直な人なんだ。
中学生時代。ほんとはそう思っていても、なんだかテレクサクテ、逆の
ことを言ったりするけど、心は素直の状態。
でも高校になると進学や就職が目の前に迫り、一気にオトナの価値観
が自分に入り込んできて、ココロも素直じゃなくなってくる。
社会に出て働くようになると、毎日が単調で、同じことの繰り返しになり、
他人と自分を色々な尺度で比べるようになる。
あの人の給料はいくらだ、休みはどれだけだ、ボーナスはどうだ、こうだ・・。
そんな日々を過ごしていくうちに、その時強く思ったことが口にだして言え
なくなり、色々な”責任”を背負うようになると、思うことも難しくなってくる。
いや、もちろん、素直なココロを持った大人も(多分)大勢いる、ハズ。
でもそうじゃないオトナも、大勢いる。
じゃあ、どうやったら”あのときの”素直な気持ちになれるんだろう?
何事にもっていうか、それには、ちょっとした訓練が必要になる。
道端の花を見る。見るように心がける。色はどうだろう、ハッとする色なのか
キュッとした色なのか。月を見る。見るように心がける。ウサギはいないか、
カタチはどうだ。
とにかく、周りの自然を、自分の目で見るように心がけ、次にそれを見たこと
で自分がどう思ったのかを、自分に言い聞かせる。
「うん、このちょうど薄暗くなってきたときのこの花の色、浮かび上がったこの
感じ、最高」とか。
できれば自然がいいのだけれど、絵でもいいし、映画でもいいし、音楽でも
いいだろう。ただなんとなく見て過ごすのではなく、思い、自分の感想を持つ。
他人や、批評家や、雑誌の記事やテレビやラジオで”誰か”が言ったのでは
ない、自分だけの感想。
そんなことを繰り返しやっていると、不思議なことに、その時思ったことが、
すっと自然に口から出てくるようになる、はず。
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